分析の基礎知識「COD」

CODとは、Chemical Oxygen Demand の略で化学的酸素要求量と呼ばれ、湖沼や海域の環境基準及び排水基準で規制されている。酸化剤(化学物質)により酸化される有機物よる汚濁指標である。わが国では酸化剤として過マンガン酸カリウムが用いられている。

1.公定法の位置付け

JIS K 0102   工場排水試験方法

2.概要

CODは、試料水に酸化剤として過マンガン酸カリウムを加え、100℃で30分間反応させ、そのとき消費した酸化剤の量を酸素量に換算して表したものである。CODの測定法には使用する酸化剤の種類、反応時の液状、反応温度、反応時間などの違いによっていくつかの試験方法がある。これらはいずれも水中の有機物による汚染の程度を表す汚濁指標として用いられている。 
CODの試験法には、過マンガン酸カリウムを酸化剤とし、酸性下で酸化する酸性法(CODMn)と過マンガン酸カリウムを用いてアルカリ性下で酸化するアルカリ性法(CODOH)及びニクロム酸カリウムを酸化剤とし、強酸性下で酸化する二クロム酸法(CODcr)がある。 
CODの検定法は、日本及び韓国では100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量(酸性法)であり、欧米諸国及び中国ではニクロム酸法である。酸化力という点から見れば、ニクロム酸法の方が酸性法よりも酸化力が強いことからCOD値は高くなる。ニクロム酸法は、試薬として六価クロム及び硫酸水銀という毒物試薬を用いることや還流装置の使用等、分析操作が繁雑であるなどからわが国では、酸性法が主流である。なお、塩化物イオン濃度が高い海水でのCOD測定には、アルカリ性法が用いられる。

3.公定法によるCODの測定

酸性法は試料に所定量の硫酸、硝酸銀及び過マンガン酸カリウムを加え、100℃、30分間の加熱条件下で反応させたとき消費した過マンガン酸カリウムの量を酸素量に換算して表したものである。 
反応した過マンガン酸カリウム量を求めるには、30分間加熱後の溶液に一定量のしゅう酸ナトリウム溶液を加えて、残留する過マンガン酸カリウムと反応させ、さらに残留したしゅう酸ナトリウムを過マンガン酸カリウム溶液でうすい紅色を呈するまで滴定して、CODを求める。

①試料の酸化反応

②滴定時の反応

COD値は、次の式から算出する。
    COD(mg O / L)=(a-b)× f × 1000/ V × 0.2
     
     a:滴定に要した 5mmol/L 過マンガン酸カリウム溶液(mL)
     b:水を用いた試験での滴定に要した5mmol/L 過マンガン酸カリウム溶液 (mL)
      f: 5mmol/L過マンガン酸カリウム溶液のファクター
     0.2:5mmol/L過マンガン酸カリウム溶液 1mLの酸素相当量(mg)
      V:試料(mL) 

4.水質総量規制における簡易COD計

わが国においては、閉鎖性海域における水質環境基準を達成することを目的とし、1979年度からCODを対象として水質総量規制制度が導入された。日平均排水量が400m3未満の事業場においては、測定頻度も少ないことからCODの測定に簡易COD計が認められている。測定の頻度は、排水量により異なり400m3以上の場合、毎日測定であることからCOD自動計測器やUV自動計測器により測定が行われている。