分析の基礎知識「電量滴定法」

電量分析法は、物理化学の最も根本的な測定の一つである。“ファラデーの法則”に基づいたもので、電気分解に要する電気量を測定することによって、電解反応にあずかる物質の分析を行う方法である。定量分析における計測量に対し、重量や容量の代わりに電気量を用いる分析法を電量分析法という。

1.ファラデーの法則とは

〇電解の際に生じる化学変化の量は電解槽を通過した電気量に比例し、
〇同じ電気量では常に同じ電気化学当量の化学変化が生じる。
〇すなわち一電気化学当量の析出または反応に必要な電気量は、物質の種類によらず、96,485クーロン(1ファラデー)である。
この測定では反応物質が100%の電流効率で生成し、目的物質と化学量論的かつ迅速に反応することが必要条件である。

2.電量滴定法(Coulometric Titration)とは

一定に保たれた電流で、目的物質と電解発生させた成分を定量的に反応させ、この電解発生成分が目的物質との反応が完了するまでに消費された電気量(電流×時間)を測定する方法である。 
〇 ビュレットを用いない滴定法である。
〇 滴定剤の調製、標定、保管が不要である。
〇 検量線の作成が必要ない(絶対量定量法)
〇 管理すべき物理量は、電解電流値と電解時間である。
〇 低濃度から高濃度までの測定ができる。

3.電量滴定法の構成例

装置の構成例を図1に示す。

4.電量滴定法を用いた水質分析への応用例

①CODの測定(第一鉄塩を用いた過マンガン酸カリウムの定量):HC-607型

②アンモニアの測定(臭素酸を用いてアンモニアの定量):AT-2000型

③有効塩素の測定(ヨウ素酸を用いて過剰のチオ硫酸ナトリウムの定量)

④塩素要求量の測定(塩素酸を用いてアンモニア等塩素消費物質の測定):CDM-5型

関連製品

クーロメトリー方式COD計 Quick COD HC-607型

アンモニア計 Quick Ammonia AT-2000型