分析の基礎知識「SS・MLSS」

浮遊物質(SS)= Suspended Solid

SSとは、水質指標の一つで、水中に浮遊する粒径2mm以下の不溶解性物質の総称であり、重量濃度(mg/L)で表される。懸濁物質とも呼ばれる。

浮遊物質が多いと透明度などの外観が悪くなるほか、魚類のえらがつまって死んだり、光の透過が妨げられて水中の植物の光合成に影響し発育を阻害することがある。排水の排水基準、公共用水域の環境基準、下水道への放流基準で規制されている。

活性汚泥浮遊物質(MLSS)= Mixed Liquor Suspended Solids

MLSSとは、試料中の浮遊物質濃度をmg/Lで表したものである。特に反応タンク内混合液(曝気槽;エアーレーションタンク)の浮遊物質をMLSSと称し、反応タンクの管理指標として用いられる。下水処理場における標準活性汚泥法では、計画水量および水質に対して、MLSS濃度は1,000~2,000mg/L程度になるように設計されている。           

測定法はSS、MLSSとも下記の2通りの方法がJIS-K-0102 工場排水試験方法、下水試験法に示されている。

ガラス繊維ろ紙法(JIS-K-0102より抜粋)

器具

1)濾過器:一般的には分離型濾過器を使用
2)濾過材:一般的には孔径1μmのガラス繊維濾紙(直径25~50mm)を使用

注意事項

・試料の保存:0~10℃の冷暗所 可能な限り早く測定する。

・試料の量:試験結果の再現性を良くするため、秤量(a)の値が20~4 0mgになるよう濾過するのが良い。

・その他: 懸濁物質に油脂類などが多く含まれる場合 酸化や揮発の影響を考慮し、加熱温度と放冷時間を一定にする。

遠心分離法(下水試験法より抜粋)

器具

1)遠心分離機
2)沈殿管
3)蒸発皿

操作

試料50mLを沈殿管にとり、回転数3000rpmで10分間遠心分離した後、上澄み液を丁寧に捨て去り、沈殿物に水10mLを加えてガラス棒を用いてよくかき混ぜ、再び遠心分離して上澄み液を捨てる。次にあらかじめ質量をはかってある蒸発皿に沈殿物を水で洗浄しながら流し込み、水浴上で蒸発乾固する。乾いてから蒸発皿の外側に付着したものをガーゼ等でふき取り、乾燥機に入れて105~110℃で2時間加熱乾燥した後、デシケーター中で放冷して質量をはかる。前後の蒸発皿の質量の差(a mg)を求め、次式によって、浮遊物質の濃度(mg/L)を算出する。